「不登校になってから、子どもが一日中ゲームやスマホばかりになってしまった」
札幌のさっぽろライラック・フリースクールにも、最も多くいただく相談の一つです。「このままゲーム依存になってしまうのでは」「将来に影響が出るのでは」と不安になる気持ちは、よく分かります。
でも、まず知っておいてください。不登校の子どもがゲームやスマホに向かうのは、意志の弱さでも甘えでもありません。これは、不登校に伴う典型的な状態です。この記事では、その理由と正しい対処法を、データをもとにお伝えします。
この記事の目次
- なぜ不登校の子どもはゲーム・スマホに向かうのか
- 65%がゲーム・ネット漬け:データが示す現実
- やってはいけない対処法
- 正しい対処法:3つのステップ
- ゲーム・スマホのルールをどう作るか
- 生活リズムを整えることが回復への近道
- よくある質問
なぜ不登校の子どもはゲーム・スマホに向かうのか
不登校の子どもがゲームやスマホに向かう理由は「暇だから」ではありません。心理的な必要性があります。
現実から離れられる唯一の場所
学校に行けない罪悪感・将来への不安・親への申し訳なさ。不登校の子どもは、常にこれらの感情と向き合っています。ゲームやスマホの世界は、そこから一時的に解放される場所です。「逃げている」のではなく、「生き延びるために必要な休息」をとっている状態です。
「できた」という体験が得られる
学校でも家庭でも「できない」「ダメだ」という感覚が続く中で、ゲームは「クリアした」「うまくなった」という成功体験を与えてくれます。傷ついた自己肯定感を、ゲームで少しずつ補っている状態とも言えます。
時間の感覚が麻痺している
不登校の初期は、心身が疲弊していて「何もする気になれない」状態が続きます。その状態では、受動的に過ごせるスマホ・ゲームが自然と手に届く場所になります。
📌 まず知っておいてほしいこと
ゲーム・スマホを「取り上げれば解決する」わけではありません。それは表面の問題に過ぎず、根本にある「心のエネルギー不足」を解決しないと、別の形で問題が出てきます。まずはゲーム・スマホを責めることをやめて、子どもの状態を理解することから始めましょう。
65%がゲーム・ネット漬け:データが示す現実
お子さんが一日中ゲームやスマホをしているのは、決してうちの子だけではありません。データが示しています。
📊 不登校とゲーム・スマホのデータ
65%:不登校の子どもの保護者が「子どもが一日中インターネットやゲームをしていた」と報告
23%:不登校の理由として「生活リズムの不調」を挙げた子どもの割合
つまり、ゲーム・スマホ漬けと昼夜逆転はセットで起きることが多く、不登校の子どもにとって「典型的な状態」です。
✍️ この記事の信頼性について
さっぽろライラック・フリースクールは、札幌市のフリースクール等民間施設一覧に掲載されている民間施設です。不登校の中学生とその保護者に日常的に向き合う中で蓄積した知見と、文部科学省などの公的データをもとにこの記事を作成しています。
この数字を見ることで「うちの子だけじゃない」と少し安心できるはずです。そしてこれは、意志の弱さでも育て方の失敗でもなく、不登校という状態に伴う自然な反応です。
やってはいけない対処法
焦ってしまうと、逆効果になる対応をとってしまいがちです。以下の対処法は避けてください。
いきなりゲームやスマホを取り上げる
現実から逃れる唯一の場所を突然奪われると、子どもは強いパニックや怒りを示します。関係が悪化し、回復がさらに遅れることがあります。
「ゲームばかりして!」と責める
責められるほど、子どもは「自分はダメだ」という気持ちを強め、ますます現実から逃げたくなります。ゲームの時間がさらに増えるという悪循環になります。
「ゲームをやめたら学校に行く約束して」と交換条件にする
学校という大きなプレッシャーと結びつけることで、子どもの心の負担がさらに増します。ゲームを辞めること自体へのモチベーションも下がります。
放任して「好きにすればいい」と完全に諦める
昼夜逆転・食事の乱れが進み、体の回復が遅れます。ルールのない環境は、実は子どもにとっての安心感を奪うことになります。
正しい対処法:3つのステップ
ゲーム・スマホの問題に正しく対処するには、順番が大切です。順番を間違えると逆効果になります。
まず「認める」ことで安心感を作る
ゲームやスマホの制限より先に、子どもの「安心感(自己肯定感)」を回復させることが最初のステップです。「えらいね」「すごいね」と無理にほめる必要はありません。「今日は5分早く起きられたね」「ご飯、残さず食べたね」という小さな事実を、そのまま言葉にして伝えます。評価や判断は不要です。これを続けることで、子どもは「自分はここにいていいんだ」という安心感を少しずつ取り戻します。
安心感が育ってきたら「枠組み」を作る
STEP1で子どもが少し安心し始めてきたタイミングで、ゲームやスマホのルールを作ります。ポイントは「罰」や「取り上げ」ではなく、「この家には守られる枠組みがある」という安心感として伝えることです。話し合いで決め、一方的に押しつけない。ルールの目的は「ゲームをやめさせること」ではなく、「睡眠と食事という生活リズムを整えること」です。
「今日学校に行けたか」をやめ、長い目で見る
「今日ゲームを何時間したか」「今日学校に行けたか」で一喜一憂するのをやめます。その代わり、「朝7時に起きる」「夕食は家族と食べる」など、生活の小さな目標に目を向けます。この小さな積み重ねが、子どもの回復を支えます。子どもが動き出す前に見せるサインについてはこちらの記事もあわせてご覧ください。
⚠️ ステップの順番が大切
STEP1で安心感の土台を作ってから、STEP2のルール作りが機能します。安心感がないままルールを押しつけると、反発が強くなり逆効果になります。焦らずSTEP1から始めてください。
ゲーム・スマホのルールをどう作るか
STEP2のルール作りに入ったとき、具体的にどうすればいいかをお伝えします。
ポイント①
子どもと一緒に決める
親が一方的に決めたルールは守られにくいです。「夜の何時まで使う?」「食事中はどうする?」を一緒に話し合って決めることで、子ども自身がルールに納得感を持ちやすくなります。
ポイント②
最初は小さな制限から始める
「食事中はスマホを置く」「夜12時以降は充電コーナーへ」など、ハードルの低いルールから始めます。「全部やめろ」という極端なルールは続きません。
ポイント③
反発したときの対応を決めておく
ルールを作ると必ず反発があります。そのときは「なぜこのルールがあるのか」を落ち着いたタイミングで話し合います。感情的にならず、淡々と続ける側に回ることが大切です。
ポイント④
ルールが守れたら「認める」言葉をかける
「守れて当然」ではなく「昨日より早く終わりにできたね」と事実として認める言葉をかけます。責めるより認めるを繰り返すことで、ルールへの抵抗感が少しずつ薄れていきます。
生活リズムを整えることが回復への近道
ゲーム・スマホの問題の本質は、「生活リズムの乱れ」です。睡眠・食事・日光という基本的な生活が整うと、心の回復スピードが変わります。
- まず「朝起きること」から
- 完璧に早起きできなくていい。「昨日より30分早く起きる」だけでも、生活リズムの回復が始まります。
- 食事は家族と一緒に
- 「食事だけは一緒に食べる」というルールは、親子のつながりを保ちながら生活リズムを整える効果があります。
- 週に1回でも外に出る(札幌は冬でもコンビニ・ショッピングモールなどで十分)
- コンビニ・散歩・ゴミ出しなど、どんな短時間でも外に出ることが、昼夜逆転の改善につながります。
- 体が元気になると心も動き出す
- 「心が回復してから外に出る」ではなく、「体を動かすことで心が回復する」という順番の方が効果的なことが多いです。
→ 子どもが動き出すサインについて:不登校の子どもが動き出すきっかけとサイン
→ 声かけについて:不登校の子どもに言ってはいけない言葉・言っていい言葉
よくある質問
ゲームを一日10時間以上しています。依存症ではないですか?
不登校の初期に長時間ゲームをするのは、心が疲弊している状態の典型的な反応であり、必ずしもゲーム依存症とは言えません。ただし、「睡眠がほとんどとれない」「食事もとらない」「やめようとすると激しい怒りや暴力がある」「引きこもりが長期化している」という状態が続く場合は、専門機関(児童精神科・ゲーム依存専門外来・札幌市の子ども相談支援センターなど)への相談を検討してください。
ルールを作っても守りません。どうすればいいですか?
ルールが守られない場合、STEP1(認める・安心感を作る)がまだ十分でない可能性があります。ルールの前に、お子さんが「この家は安心できる場所だ」と感じているかどうかを確認してみてください。また、ルール自体のハードルが高すぎる場合もあります。もっと小さな制限から始めてみましょう。
ゲームをやめさせれば学校に行けるようになりますか?
ゲームをやめることと学校に行くことは、直接つながっていません。ゲームへの依存が深い状態は「心のエネルギーが不足しているサイン」です。まず心のエネルギーを回復させることが先で、そのプロセスの中でゲームとの付き合い方も変わっていきます。ゲームをやめさせることを目標にするより、生活リズムを整えることを目標にする方が効果的です。
スマホでSNSばかりしています。友達とつながっているので取り上げにくいです。
SNSで友達とつながっていることは、孤立を防ぐ意味でポジティブな面もあります。全て取り上げるより「夜12時以降は使わない」など、時間の枠組みから始めることをおすすめします。また、SNSを通じた友人との関係が、動き出しのきっかけになることもあります。
昼夜逆転とゲームが重なって、会話もできない状態です。
まず食事だけは一緒の場所でとることから始めてみてください。会話はなくてもいいです。「同じ空間にいる」だけで、親子のつながりは保たれます。焦らずにSTEP1から丁寧に積み重ねていきましょう。一人で対応するのが難しい場合は、フリースクールや専門の相談機関に保護者だけで相談することもできます。
まとめ:ゲーム・スマホは「症状」であり「原因」ではない
不登校の子どもがゲームやスマホに向かうのは、心のエネルギーが不足しているサインです。ゲームそのものを問題にするのではなく、まず「安心感を作ること」「生活リズムを整えること」が回復への近道です。
順番を守って丁寧に積み重ねることで、子どもは自然と「外の世界」へ目を向けるようになります。焦らず、一歩ずつ進んでください。
「うちの子の状況を相談したい」「どこから始めればいいか分からない」という段階から、札幌のさっぽろライラック・フリースクールでは保護者だけのご相談をお受けしています。
→ 親が最初にやること:不登校が続いたとき札幌のお母さんが最初にやるべき3つのこと
→ 相談先まとめ:【2026年版】札幌で不登校を相談できる場所まとめ
→ 不登校全体の情報:札幌の不登校 完全ガイド【2026年版】
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