倍率発表で不安が一気に強くなる(親子の“あるある”)
倍率が発表された日、数字を見た瞬間に心がざわついた——その反応は自然です。特に札幌圏の保護者ほど、「思ったより高い」「このままで大丈夫なのか」と不安が膨らみやすい。けれど、ここで一番避けたいのは、倍率の数字が“合否の宣告”に見えてしまうことです。
倍率を見た直後に起きやすい誤解は大きく3つあります。
1つ目は「倍率=落ちる確率」という誤解。2つ目は「高い=終わり」という短絡。3つ目は、数字に動揺して勉強が“焦り学習”に変わり、手を動かしているのに点が伸びない状態に入ってしまうことです。
本番が近づくほど、量を増やして安心したくなりますが、焦ってメニューを増やすほどミスが増え、再現性が落ちます。結果として、家庭の空気も重くなりがちです。

その不安は正常です(保護者の心が揺れる理由)
保護者が不安になるのは、子ども以上に「落ちた後」のことまで想像してしまうからです。進学先、通学、友人関係、将来の選択肢——倍率の数字は、それらを一気に連想させます。
一方、受験生は倍率を「自分が否定された数字」に感じやすい時期です。ここで親が正論だけをぶつけると、子どもは“責められている”と受け取りやすく、家庭内の会話がぎくしゃくします。
だから必要なのは叱咤ではなく、まず整理です。整理ができると、親の言葉がプレッシャーではなく支えになり、子どもも「やること」に戻りやすくなります。

倍率は“合否の宣告”ではなく「状況を読むデータ」—正しい見方は5つ

見方1:北海道全体と札幌圏では“温度”が違う(今年は二極化が起きやすい)
今年(令和8年度・1/26時点)の全日制平均倍率は 0.93倍で、12年連続の定員割れ。道内213校中29校が定員割れという土台があります。
つまり北海道全体で見れば「1倍を切るのが標準」に近い。しかし札幌圏(石狩学区)は別で、上位・人気校に受験生が集まりやすく、同時に中堅〜下位層や郊外では定員割れが深刻化する、いわゆる二極化が強く出やすい年だと整理されています。
保護者が最初に持つべき視点はここです。“全道平均”の空気で札幌圏の数字を見ない。それだけで不安の増幅がかなり止まります。

見方2:中間倍率は「途中経過」—数字は固定された運命ではない
1月26日に出た数字は、資料内でも「第1回の数字」と表現され、変更後・最終と段階で動く前提で語られています。
ここで大切なのは、倍率を「判断材料」ではなく「状況把握のデータ」として扱うこと。数字を見て気持ちが揺れるのは仕方がありませんが、揺れたまま勉強のやり方を崩すのが一番もったいない。
家庭では、倍率の話題が増えるほど消耗します。数字は“見たら終わり”にして、会話の焦点を「次に何を再現するか」に戻すだけで、受験生の集中力は戻りやすくなります。
見方3:「見た目の倍率」と「実質の戦い」はズレる(推薦・一般の混在)
北海道の公表倍率は、推薦と一般が混在しているため、数字の意味を取り違えやすい——これは専門家コメントとしても繰り返し指摘されています。
さらに近年は推薦枠が厚くなり、推薦で合格が出た分だけ一般枠が圧縮されるため、中間倍率より一般の実質倍率が大きく跳ね上がることがあります。
たとえば資料の具体例では、定員320名で推薦が20%(64名)だと一般枠は256名。中間で416名が出願していれば、一般だけを見ると 416 ÷ 256=1.625倍という厳しさになります。
ここを知らないと、「1.30倍なら大丈夫そう」「0.98倍なら安心」と“見た目”で感情が振り回されます。保護者が押さえるべきポイントは、**倍率の数字そのものより、数字の中身(推薦・一般の構造)**です。

見方4:札幌圏は“学校のタイプ”で倍率の意味が変わる(高止まり/反動/小規模)
札幌圏は同じ倍率でも、学校のタイプで“重さ”が違います。今年の中間倍率は、その違いをとても分かりやすく見せています。
- 高止まり(回避されにくい)タイプ:札幌西
札幌西は 1.46倍で、自由な校風人気が定着し「回避されない強さ」と表現されています。
こういう学校は、数字を見て不安になっても「人気が落ちにくい」という性格がある分、親子の心の置き方(=やることを崩さない)が重要になります。 - 反動(隔年現象)タイプ:札幌東
札幌東は今年 1.30倍。前年の高倍率(いわゆる“東ショック”)の警戒から志願者が大きく減った、と分析されています。
こうした学校は「今年は落ち着いた数字に見える」一方で、数字の意味を読み違えると油断が入りやすい。だからこそ、家庭がやるべきは“倍率の解釈”よりも、学習を再現できる形に固定することです。 - 小規模(倍率が跳ねやすい)タイプ:札幌国際情報(普通)
札幌国際情報(普通)は 1.85倍で、定員が小さいため倍率が跳ねやすく、実質的な不合格者が多く出る厳しさが指摘されています。
つまり札幌圏の倍率は、「数字の大小」だけではなく、**学校のタイプ(高止まり/反動/小規模)**で“受け止め方”が変わる。保護者がこの視点を持つだけで、家庭の会話はずっと冷静になります。

見方5:最後は倍率ではなく「我が子の作戦」に戻す(家庭の会話を点数に向ける)
今年の特徴として、私立無償化元年でも札幌圏では公立志向が根強く、影響は「限定的」と評価されています。
一方で、推薦と一般が混ざることで“見た目と実質の乖離が過去最大級”になり、情報の扱い方が結果に影響しやすい、とも整理されています。
だからこそ、家庭での最優先は一つです。
「倍率の話」から「点が伸びる作戦の話」へ戻す。
倍率の数字は不安を強めますが、点数を上げるのは「再現できる手順」です。親がその舵を握れると、子どもは安心して“やるべきこと”に集中できます。

ここから本番まで、家庭がやることは3本柱(点数とメンタルを同時に上げる)
1つ目は、当日点を上げること。難問に突っ込むより、取れる問題を取り切る練習が最短です。
2つ目は、失点を減らすこと。直前期の伸びは、勉強量ではなくケアレスミスの削減で作れます。
3つ目は、メンタルを守ること。倍率・SNS・会話の消耗を止めるだけで、勉強の質が戻ります。
ここで大切なのは「頑張らせる」ではなく「崩さない」。受験生は頑張っています。崩れる原因は多くの場合、情報の受け止め方と、学習の再現性が乱れることです。
要注意サイン(倍率が原因で点が下がる家庭の共通点)
「どうせ無理」が口ぐせになってきた。やることが増えすぎて勉強が散らかっている。会話が詰問になっている。
この3つが揃うと、本人の力とは別のところで点が落ちます。ここからの時期は、気合よりも“整え方”が結果を左右します。

次の一歩(勉強量ではなく“再現性”で点を積み上げる)

再現性①:「やること」を固定して迷いを消す(メニューを増やさない)
増やすほど安心しそうに見えて、直前期は逆です。同じ手順を繰り返して精度を上げる方が、点に直結します。親は「何時間やった?」ではなく、「同じ形で回せた?」に焦点を移すだけで十分です。

再現性②:「できた/できない」を言語化し、修正だけを回す(同じミスを減らす)
伸びる家庭は、反省会が長いのではなく、修正点が小さい。毎回“直す対象”を絞って、同じミスを減らすほど安定します。ここも量ではなく再現性です。

再現性③:家庭の会話を「叱咤」から「手順確認」に変える(結果に直結する声かけ)
かける言葉は「もっとやりなさい」より、
「次はどの順番で解く?」「ミスを減らす工夫は何にする?」
この“手順確認”に変えるだけで、受験生の心は守られ、点は積み上がります。

不安を整理して「本番までの過ごし方」を固めたい方へ

倍率の数字が気になる時期ほど、親子で“正しい受け止め方”と“再現できる過ごし方”を一度整理しておくと、家庭の空気が落ち着きます。
【1/31開催】2026年公立高校入試・本番までの過ごし方セミナーでは、札幌圏の今年の傾向をふまえつつ、保護者として「何を気にして、何を気にしなくていいか」を整理し、残り期間を再現性のある学習に変える組み立てを具体化します。






