
北海道高校入試の「倍率」は、毎年の恒例ニュースのように見えます。
ただ、今年(R8)の札幌・石狩は、数字以上に“選び方”の変化が出やすい年だと感じています。
大きな前提は2つです。
1つ目は、公立高校への出願数(受験生数)が昨年より全体で約700人減っていること。
2つ目は、私立高校の授業料無償化の流れもあり、私立を第一志望にする受験生が増えてきていることです。
この2つが重なり、札幌・石狩の倍率は「人気が上がった・下がった」だけでなく、受験生の志望行動そのものが再編されているように見えます。今回は当初倍率から、その変化を落ち着いて整理します。

今年の北海道高校入試の倍率は「土台が違う」
公立出願者が減ると、倍率は“静かに”歪みやすい
出願者が減る年は、全体の倍率が下がりやすい一方で、学校ごとの“偏り”が強く出ることがあります。
理由はシンプルで、人数が少ないと、数十人単位の移動でも倍率に影響が出やすくなるからです。

私立第一志望が増えると、公立は「残る層」がはっきりする
私立を第一志望にする受験生が増えると、公立は「最後まで公立を選ぶ層」がより明確になります。
ここでポイントになるのは、学力だけではなく「高校生活をどう過ごしたいか」「通学や部活をどう考えるか」といった価値観です。
今年の倍率は、その価値観の違いが反映されやすい年だと見ています。
札幌・石狩の当初倍率で見えた“普通科”の動き
±0.2以上の変化は「偶然」よりも“志望行動の変化”のサイン
もちろん当初倍率は、出願変更で動きます。
ただ前年差で±0.2以上動く学校は、偶然というより「選ばれ方が変わったサイン」として一度立ち止まって見る価値があります。
【普通科】倍率が上がった:札幌白石・札幌平岡
札幌白石・札幌平岡は“安全志向”の受け皿になりやすい
普通科で上昇が目立つのは、札幌白石(1.1→1.3)と札幌平岡(1.1→1.4)です。
どちらも、内申ランクでいうE・F・G帯の受験生が比較的多い学校として知られています。
通学の利便性が最優先ではなく、「学校生活重視」で選ばれた可能性
両校とも、通学の利便性が“とにかく強い”タイプではありません。
それでも倍率が上がったのは、今年の公立志望が「高校での部活や行事、学校生活を大切にしながら、無理なく3年間通い切りたい」という気持ちで集まりやすかったからではないか、と私は見ています。
「確実に通える」「生活が回る」ことを重視した選択が、結果的に集まった可能性があります。

【普通科】倍率が下がった:札幌東・札幌平岸
昨年高倍率だった学校は“反動”が出やすい
下がった代表は、札幌東(1.6→1.3)と(市立)札幌平岸・普通(1.8→1.4)です。
両校とも昨年は高倍率で、いわゆるTOP進学校・準進学校の境目に位置し、例年倍率が上がりやすい学校でもあります。
「昨年の高さ」を見て、出願段階で“慎重さ”が働いたように見える
今年は、昨年の高倍率を見て「一度落ち着いて考えよう」とする動きが出やすかったのかもしれません。
ここは“怖くて逃げた”という話ではなく、「合格可能性を現実的に見直す」という安全志向の判断として自然です。
倍率が下がったこと自体よりも、受験生側の志望行動が変化している点が重要だと感じます。
倍率の数字だけで学校を動かすより、「今の実力だと当日点が何点必要か」を先に把握した方が、判断がぶれません。

安全校に迷うお母さんへ:当初倍率だけで決めなくて大丈夫です

迷いが出るのは、真剣に考えている証拠
「安全校に下げた方がいいのか」「このまま勝負していいのか」――この迷いは、多くのご家庭にとって当然のものです。
大切なのは、当初倍率の数字だけで焦って動かないことです。
判断の順番はこの3つがおすすめです
1)過去の“最終倍率”の動き(当初→最終でどう動きやすい学校か)
2)必要当日点のイメージ(倍率ではなく“何点必要か”で見る)
3)本人の納得度(納得していない変更は、直前期の伸びを止めます)
倍率は「心配の材料」になりやすいですが、見方を変えると「何を優先すべきかを整理する材料」にもなります。
安全校への変更が悪いわけではありません。ただ、本人が納得していないと、直前期の伸びが止まります。最後は“納得度”も大切です。

直前期は「やることを増やす」より「失点を減らす」
2月道コン・過去問をやって落ち着く3つのこと
- 過去問(できれば直近)を1年分だけ解いて、失点理由を「知識不足/読み違い/時間不足」に分ける
- 失点理由ごとに、やることを1〜2個に絞る(増やさない)
- 出願を動かすなら“点数で”判断する(倍率で判断しない)
ここが整理できると、安全校にする/しないの判断も、感情ではなく手順で決められるようになります。

あわせて読みたい(道コンで決着:直前対策)
【道コンで決着】北海道公立高校入試対策の直前対策|最後に伸びる「過去問の回し方」

まとめ|今年の倍率は「人数減×私立志向」で“選び方”が変わった
今年の北海道高校入試の倍率(札幌・石狩)は、
- 公立出願者が全体で約700人減
- 私立第一志望が増える流れ
この2つが重なったことで、普通科を中心に“選び方”の差が見えやすくなっています。
普通科では、札幌白石・札幌平岡が上昇し、札幌東・札幌平岸が低下しました。
この動きは、学力だけでなく「高校生活をどう過ごしたいか」「無理なく通い切れるか」といった価値観が、今年はより表に出ているサインにも見えます。
当初倍率は出発点です。
大切なのは、ここからの時間をどう使うかです。







